「さっき言ったよね…?
最初、アキラの両親から僕を堕とすように依頼されたって……

最初ってこと……
もう僕を堕とさないんだ?」





『ああ。お前を間近で見て分かった
お前は、堕とせないって……』





「へぇ……
どうして〜?」





『お前もさっき言っただろ?
同じ匂いがするって……

俺も同じことを思った


だから…さ……

なんか親近感とか湧いて


兄妹みたいにしか思えなくなったんだよな……』






迅は、僕の方を一度見ると
ワインを運んでいた男から、ワインを奪いグラスに流し込んだ





『あと、依頼者から
この依頼は無しってことになり

堕とさなくて済んだわけ』





「なら、何で僕に近づいたの?
依頼は無くなったんでしょう?」





『興味があったから……』





「興味〜?」






『あんなこと言って
場は凍りつくと思ったら……

温かい、ハッピーエンドになった


言葉で人の心を自在に操る女を見てみたかった

まあ、まさか俺みたいなヤツがいるとは思わなかったけど…な?』





「僕のこと気に入った?」






僕は、迅のグラスを奪い
ワインを飲んで、迅を厭らしく見つめると……





『気に入った
お前を欲しくなった』






迅は、僕の頬を優しく触ると
僕の頬に軽くキスをした






「僕は誰にもあげないよ。絶対に」





『だろうな
俺なら、絶対にあげねぇわ

だけど、俺と組まねぇか?
俺とお前なら、いくらでも大金が手に入れられる

なあ?組まねぇか?』






「僕、お金に興味がないの
残念だけど、そのお誘い断るね」





『はぁ……
仕方ねぇな……

なら、また誘いに行くわ
考えといてくれよ?』





「覚えていたらね〜」






迅は、そう言って
パーティー会場から出て行った






僕は、お金には興味ない

僕が今、興味があるのは……





「あっ、見つけましたよ。遥ちゃん」




「僕に構わず、まだ他の人たちと話していればよかったのに〜」




「そうはいきませんよ
私は、あなたの彼氏ですから…ね?」




「まだ彼女のフリは終わってなかったんだ?」




「あなたを司の家に送るまでは…
彼氏でいるつもりですよ」






そう……

僕が今、興味があることは


ただ、一つ……




司をどう振り向かせるか…だ