〜 恭也 視点 〜



蛍がいつも通り晩ご飯を用意してくれた
だが、蛍の様子がなんか変だ……



「恭也……

あのね…………や、やっぱりなんでもない!」


「…………?」



何かを俺に伝えようとしては、なかなか言ってこない

何かあったのか……?




「恭也……た、食べてくれないの…?」


「あ……いや、食う」



俺が料理に手をつけないので…
蛍は、自分の料理を食べてくれないのか…と不安に思っていた

俺は、そんなことはないと
蛍を不安にさせないように箸を持ち、蛍の料理に手をつけた



「……っ……」



蛍の料理は、いつも美味しいのに……
この料理は、めちゃくちゃ不味かった

俺は、吐きそうになり
すぐに手で口を抑えた



「ど、どうしたの…恭也……
料理……ま、不味かった…?」



はっきり言ったら……不味い

だけど、蛍が俺のために作った料理だ…
俺のために……

なら、俺は……



「そんなことない

蛍の料理は旨ぇよ
俺への愛情が入ってるからな」


「き、恭也……」



蛍は、何故か感激していて
少し涙目で、料理はわざと不味くしたと言ってきて何故こんなことをしたのかも聞いた



また、遥のヤツか……



俺は、遥が嫌いだ
蛍が創った、もう一人の蛍の人格でも
好きにはなれねぇ…

だが、遥に助けてもらったこともある


だから、遥に強くは怒れない

蛍が創ったもう一人の人格でもあるから
蛍に怒ってるみたいで嫌だからな……



「じゃあ、これ片付けるね?
新しいの作ってくるから」


「あっ、待て……蛍」



蛍は、わざと作った不味い料理を片付けようとしていた

俺は、そんな蛍を止めた



「作らなくていい

それ食うから」


「恭也……?」




不味い料理でも…

蛍が作ってくれたものだ


食わないわけにはいかない




俺は、蛍を手招きして近づいてくる蛍を
俺の膝に乗せ、箸を持たせた




「食べさせてくれねぇ?」


「き、恭也……っ////」



俺の言葉に蛍は顔を真っ赤にさせながら
俺を見つめていた



フッ……

可愛いな……



俺は、そんな蛍を愛しく思いながら……

蛍に食べさせてもらった料理を全て完食した