「本当に僕を見てるわけ?」


「えっ…?」



遥はさっきよりも鋭い目で俺を睨んできた
俺は遥の言葉の意味が分からず
困惑しながら遥を見つめていた



「慶都が思う、僕の好きなところ言ってみてよ」



な、なに…
どうしたの、遥…

俺を試そうとしてるの…?



俺は遥の言葉の意味を理解しないまま
俺が思う、遥の好きなところを言った



「顔が可愛いところだろ…?
時々見せる、妖艶な笑みに
人を落とすときの仕草…

気高いところも好きだし…
俺を見つめている、この熱い瞳も好き


あとは、そうだな…
一人は寂しいって思って震えている小動物のような可愛いところとか
なんとも言えない背徳感かな?


まあ、全てが好きなんだよ…
遥がする一つひとつの仕草や表情見てるだけで、俺は心が熱くなるんだよ」




はっきり言ったら、遥の好きなところなんて分からない

だけど、遥と会ったときから
他の女たちと違うと思った

まさに、運命を感じたんだよ




「ほらね?
僕を全く見てないじゃん…」


「えっ…?は、遥…?」



遥は一瞬悲しそうな顔をすると
いつもと同じ冷たい表情になった



「僕を好きって?
笑わせないでよ

僕を全く理解してない慶都に
僕の心を渡すと思う!?」



遥は、俺の身体を押して
俺から離れて、叫ぶように怒鳴った




僕の心を全く理解してない?
どういうこと…?

俺は遥をずっと見てきたんだよ…?
そりぁ、全ては理解出来てないかもしれないけど…

誰よりも遥の心を理解していると思っているよ…?




「司は僕を理解してくれている
司だけが僕を受け止めてくれる存在なんだ…

何も分かっていない慶都に…
僕は渡さない!!」



「ちょ、ちょっと待って!遥…っ!
どういう意味だよ!?待ってって…遥!」




遥は俺を睨みつけながら、式場に向かって歩き出した

俺は遥をすぐに追いかけたが、遥は俺と一言も話さないでいた




なんだよ、それ……

司に分かって、俺が分からないって…
一体なんなんだよ…っ!