教室に戻れば女子に囲まれている四銃士。
うん。アイツら。
榊原君達。
四人の顔を見ると銃で胸を撃たれたように四人に夢中になる、とかなんとか。
しかもあの四人あたしの席の周りだし。
あたしの席に太陽だし。
あたし窓側の一番端っこの一番後。
「あっ、会長今日って宿題ありましたよね?」
「えぇ?なかったよー?」
「嘘ッ!やっちゃった!」
「まぁ、次の宿題の時ゆっくりして?」
「ハイっ!」
あぁ、また偽りの笑顔。
「あ、予令なってるよ!」
皆席についた。

あたしは戦っていた。
睡魔とゆう獣と。
「...う、会長!」
「あ、どうかした?」
「あの...あたしの代わりにあの問題、解いてくれないかな?あたし分からなくて...。」
グシャッってノートを握ると破れた。
「いいよ。」
また、偽りの笑顔。
黒板に書いて席についた。
中3の頃かな?笑わなくなったの。
ずっと偽り。
あたし自身が偽りなのかもしれない、と悩んだ事もあった。
やっぱり、太陽がいなきゃ何もできないのかな...。
ダメッ!決めたの!
もうアイツには頼らないって!
「さすが会長!優しいね!」
「ありがとう。」
優しくなんかない。
ただ、自分の為に。
「嘘の笑顔。あの頃の笑顔はなくなったんだな。」
そう、ボソッと呟かれた。
「...うるさい。あの頃とは全部変わったわ?太陽だって変わったくせに。」
隣の人と机をひっつけなきゃいけないから聞こえてるんだ。
二人しか聞こえない小さな声。
「どうだろうな。」
「あたしを置いて遠くに行ったのは太陽じゃない。」
ずっとずっと一緒にいたはずなのに置いて行った。
「....。」
「先生、体調悪いんで早退させてください。」
「いいよ。でも一人じゃ危ないし夢長、送ってやれ。」
「俺もそのまま帰るから。」
二人無言で電車に乗った。
誰もいない電車。
ただ動いている電車。
「俺の事嫌いならピンもストラップも捨てればいいだろ。」
「捨てられないよ。絶対捨てない。」
これを捨てたら
「偽りも何もかも無くなりそうなの。」
「愛樹、体大丈夫か?」
「ヤンキーのクセになんであたしを心配するのよ。」
「お前も見かけはヤンキーだよ。」
「クスクスっ、本当だ。」
「やっと、」
「え?」
「やっと笑った。」
あぁ、やっぱり大輝がいなきゃ笑えない。
尚更このピンとストラップも捨てられないなぁ。
「」