想太は歯がゆくてしょうがなかった。
やっと目の前に現れた可南子をまた失ってしまうなんて・・・
「可南子の異動はとりあえず保留にしとく」
「想ちゃん・・・」
「まだ8月までには日にちがあるし、俺は絶対に認めない」
可南子は、想太の気持ちも痛いほど分かっていた。
可南子だって想太を置いて長崎へなど行く自信はなかったから。
でも、これは会社の決定だ。
「想ちゃん、私が長崎に行ってもたまに会えるじゃない・・・
月に1回は私が東京に遊びにくる。
昔みたいな別れじゃないよ」
「月に1回なんて、絶対に嫌だ」
想太は可南子を抱き寄せてか弱い声で言った。
「やっと、会えたんだぞ・・・
俺は、可南子が長崎に行くって考えただけで、頭がおかしくなりそうなのに・・・
もう、俺の前からいなくならないでくれ・・・」
今度は可南子が想太を強く抱きしめた。
「ごめんね、想ちゃん・・・」



