可南子は、想太の気持ちが痛いほど分かるために、課長にどう答えていいのか困ってしまった。
でも、仕事は投げ出すわけにはいかない。


「課長、大丈夫です。
私が必ず連れていきます。

仕事にも支障をきたさないように、部長にしっかり言っておきます」



「朝倉くんは、何か知ってるんだね・・・
いや、それならそれでいいよ。

部長の事は、任せたよ」


可南子は山本課長の事をとても信頼していた。
想太の壮絶な過去を知っても、きっと、受け入れてくれるだろう。
でも、それは私が話すことではない。

いつか、想太が心を開いて話せる日がくるのを待つしかなかった。


「あ、あと、明日なんだけど、ちょっと僕に仕事が入って、遅れて福岡に行く事になったから、朝倉くんと部長は予定通り移動しててほしい」



「何時に合流できますか?」



「4時頃かな。
3時からの会議には間に合わないけどすまん」