想太は、ずっと自問自答していた。


“お前は可南子の恋人なのか?” 

 “いや、違う”


27歳の可南子は大人の女性だ。
誰と一緒にいようが、つき合おうがそれは可南子の自由だ。

頭では分かっていても、心が悲鳴を上げていた。

想太は今までたくさんの女の人とつき合ってきたが、こんな気持ちになることなんて一度もなかった。
子供の頃にはたくさんあった。
可南子が他の男子生徒と話すだけで、イライラして機嫌が悪くなった。

27歳にもなって、可南子の事になると自分が抑えられない。

想太は通りが見える窓から、ずっと、外を眺めていた。


可南子、早く帰ってきてくれ・・・