「可南子、今夜、一緒にご飯食べようぜ」



「無理です」



「なんで?」



「残っている仕事を済ませないと・・・
今日は残業になりそうだからごめんなさい。

それじゃ、失礼します」


また、仕事モードになりやがった。


「部長命令。いいだろ?」


「絶対、無理。
そんなわがままばかり言うんだったら、お世話係、辞退させてもらいます」


想太は、黙ってしまった。
子供の頃のように、強引に可南子を連れ回すことができないことくらい頭では分かっていた。


「分かった・・・

もう、行っていいよ・・・」



「想ちゃん、ごめんね・・・」



「うん、いいから・・・」


いつも可南子は、後ろ髪をひかれる思いになる。
こんな27歳にもなった大の男を、可哀そうに思う自分がどうかしている。
ご飯くらい一人で食べれなくてどうするの?


「8時頃だったら行けるかも・・・
大丈夫?
遅くない?」



「全然、大丈夫。
じゃ、俺もここで待ってるから」


嬉しそうな想太・・・
私、これからどうなるんだろう・・・