可南子は、想太のいる部長室へ入った。
部長室はフロアの左端の一角にあり開放的な作りのために壁の半分は硝子張りになっている。


「失礼します」


可南子は、昨日の事はなかったかのように仕事の顔になっていた。


「部長、課長の方から、部長のお世話係を任された朝倉です。

よろしくお願いします」


想太は、かしこまった可南子を見て笑い出した。


「可南子、そんなかしこまらなくて全然いいんだよ。
俺は、可南子の上司かもしれないけど、そんなのあまり関係ないと思っている。
他の皆にもそうだよ。

だから、フランクにいこうぜ」


きっとこれが課長が言ってたアメリカ的な考えなのだろう・・・

可南子は社内から隠れる壁側の方に移動してから想太に言った。


「想ちゃん、それじゃダメなの。
ここは日本で、特にこの会社は規律を重んじる古いタイプの人達が多いので有名。

ちゃんとこの会社のルールに従わなきゃダメ」