実際、大人になった想太に、誰よりも心を持っていかれてるのは可南子自身だった。

大好きだった幼い想太は、今ではイケメンの御曹司?
この現実に可南子はまだ戸惑うばかりだった。


「朝倉くん、ちょっといいか?」


朝一番で、課長から呼ばれることは珍しいことだった。


「はい、何でしょうか?」



「朝倉くんに折り入って頼みたいことがあるんだ。
柿谷部長の事で」



「柿谷部長が何か?」



「実は、柿谷部長から会社に慣れるまでの間、身の回りの世話をしてくれる人をつけてくれという事でね。
朝倉くんを指名してきた」



「身の回りの世話って?」



「僕達も、それはちょうどいいと思って、実は会社の方からも朝倉くんにお願いしたい事があってね。
部長は、有能で年の割にはしっかりしてて、会社の事もちゃんと考えてくれているんだけど・・・」



「だけど?」