想太は、可南子が目覚めるまでずっと手を握っていた。

こんなことを言ったらまた真奈に叱られそうだけど、我が子がこの世に誕生したことよりも可南子が無事に出産を乗り越えてくれたことの方が嬉しかった。

想太は、結婚したことによってたくさんの幸せを可南子からもらった。
可南子は、いつも想太の事を一番に考えてくれる。
想太のために美味しいご飯を作り、想太のためにいつも笑顔を絶やさない。

想太の荒んだ人生の中に、家庭という温かいよりどころを作ってくれた。

もう、可南子なしの人生は考えられない・・・


「想ちゃん・・・」



「可南子、どっか、痛いのか?」



「ううん、大丈夫・・・」


目覚めた可南子は、凄く綺麗だった。
想太は、胸が熱くなり涙がこみ上げた。


「可南子が死ななくて良かった・・・」



「バカ、死ぬわけないじゃない」


そう言って、可南子は想太の手を笑顔で握り返した。