「想ちゃん、聞こえた?
今、赤ちゃんの泣き声がした。

あ、ほら、また、したよ。

二人とも無事に生まれたみたい」


真奈は興奮して、手術室のドアに耳をあてている。


「可南子の声は?」



「想ちゃん、大丈夫?
泣き声は赤ちゃんしか聞こえないの。

お姉ちゃんが泣くはずがないじゃない」


真奈はそう言って大笑いしている。

想太は、まだ、笑えなかった。
可南子の元気な姿を見るまでは・・・


先生が出てきて、想太は「おめでとうございます」と言われた。


「二卵性の男の子と女の子の双子ちゃんでしたよ。

お母さんは双子の出産だったので、今、眠り薬で寝てもらってます。
1時間程で目覚めると思いますので、待っててくださいね」


そして、想太と真奈は赤ちゃんを見に行った。


「可愛い~~。
でも、なんか、二卵性だからかな、あんまり似てないね」


想太は二人の小さな赤ちゃんを見て、優しく微笑んだ。