想太が病院に着いた時は、まだ可南子は手術中だった。


「想ちゃん、帝王切開だったから、立ち会えなくて残念だったね」


真奈がそう言うと、想太は真っ青な顔をして言った。


「無理、無理・・・
立ち会うなんて俺はできないよ。
可南子の血を見るだけで、耐えられない・・・」



「想ちゃん、そんな弱虫じゃお父さんになれないよ」


真奈は、可南子以上に的を得たことをズバリと言った。
想太はその度に打ちのめされて、そんな想太を見て可南子はいつも笑った。


想太は可南子が双子を妊娠したと聞いた時、素直に喜べなかった。
一人を出産するだけでもたいへんなのに、二人もだなんて、可南子の体は耐えられるのか・・・

想太は可南子に何かあったらと考えるだけで、生きた心地がしない。

まさにこの時間は、想太にとっては地獄だった。



母子ともに無事でいてくれ・・・