可南子と想太は、シスター堀に何度もお礼を言い寮を後にした。

学校の正門まで続くケヤキ並木の道を歩きながら、可南子は初めて心の底から幸せを感じていた。

この迷子になっていた手紙達も15年の歳月を送られた相手に読んでもらうためにずっとここで待っていた。

本人に手渡される日をずっと夢見て・・・

12歳の小さな胸を痛めながら、何度も届くようにと祈っていた手紙達に、私達はやっと会えた・・・


「想ちゃん、今日はありがとう・・・」


可南子は胸にしっかり手紙の箱を抱きしめている。


「ううん、俺の方こそお礼を言いたい・・・

なんか、すごく有意義な時間を過ごせて、感動してる」


想太はそう言って可南子の肩を抱き寄せた。


「可南子、堀先生のためにも幸せになろうな・・・」



「堀先生だけじゃないよ・・・
今まで、私達を支えてくれてきたみんなのために・・・」