可南子はそっと箱を開けてみた。
「先生、これは・・・」
可南子は大粒の涙が溢れだした。
想太も、あまりの突然の出来事で言葉も出ない。
そこに入っていたのは、たくさんの手紙の束だった。
それも、可南子の分、想太の分で、きちんと分けれられている。
シスター堀は二人に向かって「シー」と指を口に当てて言った。
「可南子さん、想太さん、この事は私と三人の秘密ですよ」
シスター堀はそう言うと、もう一度、可南子達に座るように手で促した。
「想太さんは、松井想太さん?」
「はい、そうです。
色々な事情があって、親戚のおじに引き取られ姓が変わりました」
「そうなのね。
でも、想太さんは幸せでしたか?」
想太は急な質問に戸惑ってしまった。
「はい、色々とたいへんな事はありましたが、でも、幸せでした」
それを聞いてシスター堀は少し涙ぐんだ。