想太はそんな可南子を強く抱きしめた。
いや、抱きしめるしかなかった。

可南子の悔しい気持ちは、痛いほどよく分かったから・・・


「可南子、もう、いいんだよ。
俺達は手紙なんか届かなくても、こうして会えたんだ・・・

今日は、真実が知れただけで良かったじゃないか。
二人ともちゃんと約束は守っていた。
手紙は届かなかったけど、それが分かっただけで俺は十分だよ。

だから、可南子、もう泣くな・・・

先生方には、ちゃんと笑顔で挨拶しなきゃ。

堀先生にもちゃんとお礼を言うんだろ?

笑顔でいつもの明るい可南子に戻るんだぞ・・・」


可南子は頷き、バックの中からハンカチを取り出し涙をふいた。

想太は、もう一度、可南子を強く抱きしめた。


この苦しみは二人で乗り越えて行こう。
きっと、簡単に乗り越えられる・・・


想太は、そう、心の中で確信していた。