「会社では、言う事は聞く。
でも、ここは会社じゃないしもうお互いプライベートの時間でしょ。

想ちゃんも、もう、帰りなよ・・・」


可南子は、ほとほと疲れていた。
想太との突然の再会に、身も心もボロボロだった。


「俺といるのがそんなに嫌か?」



「そんなんじゃないけど、今日は、もう、たくさんの事があり過ぎてクタクタなの。

ごめんね・・・」


可南子は想太に手を振り、自分の家へ向かって歩き出した。
もう、すぐそこに家は見えているのに今日は遠く感じる。

可南子は想太の事が気になり後ろを振り返ってみると、想太は可南子の後ろを静かに歩いていた。


「想ちゃん・・・」


可南子が大きくため息をついてそうつぶやくと、想太はばつが悪そうに可南子の横に来て言った。


「可南子、実は、俺の家、可南子のマンションの前のマンションなんだ・・・」



「は?」



「すごい偶然だと思ってくれ。
わざとじゃないからな・・・」