可南子は、頷いた。
もう言葉を発する元気も残っていないようだ。


「先生方、そろそろ、おいとまさせていただきます。
忙しい中、私達に会っていただき本当にありがとうございました。

可南子は今は少しショックを受けているようですが、先生方のご恩は決して忘れていません。

来月には、私達は結婚します。
必ず、可南子さんを幸せにします。

また、可南子の事をこれからも温かく見守ってください。

よろしくお願いします」


想太がそう言うと、二人のシスターは優しい笑みを浮かべて、


「もちろんです。

可南子さんの幸せは、私達の幸せでもあるんですから。
心から、結婚を祝福します」


それでも可南子は、心の底から笑えなかった。
頑張って作り笑顔は浮かべたけれど・・・


「それでは、私は先にここで失礼します。
この後に大事な会議が入っているもので・・・

可南子さん、また遊びにいらっしゃいね」


そう言って、シスター田中は先にこの場から出て行った。