可南子は、あまりの衝撃に声を出すことも忘れていた。
想太はそんな可南子の手をそっと握りしめた。


「手紙については、高校の寮監の先生にも相談したりしました。

そして、出した結果は、渡さないという事。

可南子さんには本当に申し訳ないと思ったけれど、それは学校の決まりでした。

特に12歳のあなたはまだ子供だった。

私達は、手紙を渡さないということに決めたのです」


シスター田中は、冷静にそして穏やかに昔の記憶を確かめながら話していた。


「私の・・・
私が書いた手紙は?

私が書いて事務の先生に、出して下さいとお願いしたあの手紙は?」


可南子は必死に声を絞り出して聞いた。


「あの手紙も私達が預かりました。

可南子さん、あなたが驚くのも無理はありません。

でも、あの時の私達の判断は決して間違ったものではないと今でも確信しています」



「それでは、私達のその手紙はどこにあるのでしょうか?」