可南子は苦しかった過去を思い出すことで、心の中が軽くなるような気がした。
一つ一つ整理するという事は、こういう事なのかもしれない。

可南子は、想太にも、そうであってほしいと思った。


「今度は想ちゃんの中学の頃の話を教えて」



「俺の話?
中学、高校時代はたいして面白い話なんてないよ」



「なんで?」



「可南子には想像つかないかもしれないけど、あの頃の俺はとにかく必死に勉強してた。

でも、ちゃんと、部活にも入ってたから」



「バスケ部でしょ」



「そう、エースでポイントゲッターだった」


可南子は、自慢げに話している想太を見れて嬉しかった。


「でも、なんでバスケ部に入ったの?」



「柿谷のおじさんが教えてくれたんだ。

お前の母さんは、背が高くて、バスケがすごく上手で、国体強化選手にも選ばれたりしたんだぞって」


想ちゃん、
一つ一つ、一緒に思い出していこう・・・

私達の会えなかった15年は、無駄なものなど一つもないのだから・・・