瀬戸は、もうこれ以上聞くことは野暮だと思い始めていた。
この二人の絆を、まざまざと見せつけられたような気がして・・・

この柿谷という男も可南子の事をずっと愛し続けていた。
どういう形であれ、その愛の重さを瀬戸は想像すらできなかった。


「僕が可南に振られた理由を知ってますか?」



「いいや、知りません。
それに、他人に言うような事でもないでしょ」


瀬戸は、苦笑いをした。
今度は瀬戸の方が想太に知ってもらいたい事がある。


「僕は、約2年間、可南とつき合いました。
彼女は入社当初からとても人気者でよくモテてました。

でも、何故か、恋愛に対しては奥手で、中々、つき合うところまでいけなかった」


もう、想太は聞きたくなかった。
二人のラブラブの時の話を聞くほど俺は、寛容でもないし、大人でもない。

想太はビールをおかわりして、瀬戸の話を聞いていた。