「実は、俺も、柿谷部長に一つ聞きたい事があったんです。

先に、聞いてもいいですか?」


想太は、驚いたが、笑顔で頷いた。


「あなたと可南は色々な事情があって、15年間会えなかった。
可南は、そう言っていました。

でも、俺はおかしいと思った。
このデジタル化が進む世の中で、可南の事を捜そうと思えば簡単に捜せたはず。

なぜ、今まで放っておいたのか・・・

15年、思い続けた?

可南にとっては純愛だったと思うけれど、あなたは?

俺にはそうとは思えない」


想太は瀬戸の話を冷静に聞いていた。


「あなたも、本当に、可南の事を想ってたのでしょうか?」


瀬戸は可南子には絶対に聞けない事を、そして、今日がなければ想太にも聞かずに終わっていた事を思い切ってぶつけてみた。


可南子の幸せを祈っている。
それは、今までもこれから先も変わらない。
でも、自分が前に進むには自分が納得できる理由が必要だった。