とりあえず、二人はビールで乾杯した。

気まずい雰囲気の中、想太は、たくさんの料理を注文した。
しっかり食べなければ・・・
酔っ払ってしまっては元も子もない。

冷静に、穏やかに、話をすることで、瀬戸と分かち合いたいとも思っていた。


「瀬戸さんは、いつも、こんな遅くまで仕事をされてるんですか?」


想太は、焼き鳥をほおばりながら聞いた。


「今、事業報告書を作っている最中なので。

で、何か僕に話でも?」


想太は、瀬戸が何も食べていないことに気づいていた。


「食べませんか?」


想太はそう言って、食べ物を取り分けて差し出したが、瀬戸は首を振るだけだった。


「この間、可南子の方から、瀬戸さんと話をしたということを聞いて、僕も、もう一度話したいと思っていたんです」



瀬戸は、黙って聞いていた。
この男が、可南の心を離さなかった小学生の想ちゃんだったのかと思いながら・・・