「俺は、可南子を信じる。

というよりも、俺は可南子を子供の時から信じ続ける忠犬ハチ公みたいなもんだから。

はあ、いつかは、銅像になっちまうかも・・・」


可南子はまた笑った。


「お腹すいたでしょ?
ラーメンがあるから作って食べよう」


可南子はそう言うと、台所に行きバタバタと動き始めた。

想太はカウンターの椅子に座り、そんな可南子を楽しそうに見ている。
ちょっとした日常がこんなに幸せなことを、想太は初めて知った。


「可南子・・・」


想太は、可南子を後ろから抱きしめた。


「想ちゃん、今はだめ・・・
ラーメンが伸びちゃうじゃない」


想太は後ろから可南子の首筋にキスをした。



「大丈夫・・・

俺、伸びたラーメン、大好きだから・・・」


可南子は笑いながら前を向き、想太のくちびるを噛んで「バカ」と言った。

想太も笑いながら静かに鍋の火を止めて、可南子を軽く抱き上げ寝室へと歩いて行った。