「いやだって言ったら・・・」



「でも、俺は瀬戸と話したい」



「殴り合いになっちゃうかもよ・・・」



「大丈夫。
その時は俺はサンドバックになるよ」


可南子は悔しかったが、笑ってしまった。


「バカ。

想ちゃんがサンドバックになれるわけないじゃない・・・」


可南子は、本当は、瀬戸に結婚の事を知られたくなかった。


もうこれ以上、彼を傷つけたくはなかったから・・・
でも、きっと、これを偽善というのだろう。
それは、分かっている・・・
分かってはいるけれど・・・



「でも、瀬戸さんにわざわざ結婚の事を教える必要があるかな?

もし、逆の立場だったら、私は知りたくない」


想太は黙っている。


「想ちゃん、やっぱり瀬戸さんの事はそっとしてあげて。

お願い・・・」


想太はまた不機嫌に戻った。