想太の顔が、一瞬で豹変した。
子犬のわんこが、飢えた狼に変わってしまった。


「いつ会った?」



「確か、想ちゃんと瀬戸さんが会って話した日の次の日だったと思う・・・」


想太は明らかに怒っている。
目は釣り上がり、足は貧乏ゆすりをしている。


「私の方から誘ったの。
だって、これは、私と瀬戸さんの問題だもの。

ちゃんと話したら、納得してくれた。

だから、想ちゃんは心配しなくてもいいの・・・
もう、解決したから・・・」


でも、想太の機嫌は直らない。
ずっと横を向いて流れる景色を見ている。


「俺に、黙ってるつもりだったのか?」



「ううん、いつかは言おうと思ってた。

それは、絶対、本当だよ」


やっと可南子を見た想太は、ぶっきらぼうにこう言った。


「時期的に考えたら、まだ、俺達が結婚の話をする前だよな?

だったら、俺の方からちゃんと結婚の報告をする。

いいだろ?」