「あの頃の私達って、本当に必死だったよね・・・」


想太は笑いながら、


「いや、可南子はそんなことないよ。
俺なんか必死過ぎて、半分、ストーカーになってた」



「可愛いイケメンストーカー」



「無知であるがゆえに、今考えるとヤバい事ばかりしてたよな。
可南子の両親に嫌われてもしょうがないよ」



「でも、私はあの頃のやんちゃな想ちゃんが大好きだった・・・」



「今は？」


想太は子供の頃の自分に焼きもちを焼ているようだ。


「今も、昔も、全然変わってないじゃない」


想太は、可南子を抱き寄せた。
子供の頃に密会をしていた電信柱の隙間は、もう狭すぎる。


「想ちゃん、幸せになろうね・・・」


可南子は想太に軽くキスをした。
想太もキスを返そうとしたが、反射的に体を離してしまった。


「ここじゃ、やめとく・・・
可南子のお父さんが飛んできそうだから」


可南子は、声を出して笑ってしまった。
１２歳の想太は、まだここにいる・・・