二学期も半ばを過ぎた頃、可南子は一人で部屋に籠ることが多くなっていた。

シスター堀は心配になり、ある日、可南子を誘って校内にあるチャペルに連れて行った。


「可南子さん、今日は特別よ。
一番マリア様に近い場所で、一緒にお祈りをしましょう」



「何を祈るんですか?」


まだ、12歳の少女には祈るという言葉の意味は難しいのだろう。


「なんでもいいの。
可南子さんが誰にも言えなくて心の中にしまっている事でも、マリア様にお願いしたい事でも、なんでも心の中でマリア様に話しかければいいのよ」


上から見下ろすマリア様は、二人に、優しく微笑んでいる。


そして、二人は静寂の中で静かに祈った。


可南子は、想ちゃんに会いたい、会わせてくださいと・・・


シスター堀は、可南子さんに、あの明るい笑顔が戻ってきますようにと・・・