可南子はオフィスに忘れ物をしている事に気づき、会社に寄ってからそのまま家へ帰ることにした。

今のこの状態で想太の顔を見たくはなかったし、早く家へ帰って泣きたかった。

会社へ着くと、他の部署はまだ電気がついていたが可南子の部署は真っ暗だった。
可南子は電気をつけ、しばらく机の前で物思いにふけっていた。
そして、忘れ物をバッグに入れ席を立ちあがった時に、誰かが入ってくる音がした。


「可南子、やっと見つけた」


そこには、想太が立っていた。


「何も言わずにいなくなるなんてひどいじゃん」


想太は二次会を断り可南子をずっと捜していた。

可南子はそう言う想太を無視してドアへ向かって早足で歩いた。


「可南子」


想太は、可南子の腕をつかんで引き寄せた。


「何を怒ってんだよ。
もう、勝手にいなくなったら許さないからな」