~依里~


桜のにおい


暖かくなってきたから、そろそろ春なのかなと思った

このにおいは

私を迎えに来た優のにおい

私のたったひとりの兄のにおい

私に自由をくれた

東宮様のにおい




久しぶりに涙が流れる





私は、こうしてひとりになることが嫌い

だから、檻から出ることにいつも頑張っていた


いっそのこと、本物の檻に入れてくれれば

諦めがつくのに…って思ったのに


諦めるどころか












ここから出たくてたまらない