~土方歳三~



依里がいなくなった



大砲の音がして、幹部らを広間に集めた

「土方さん……依里がいなくなった」

真っ青な顔した永倉が言った

こいつは、こんな笑えねぇ冗談は言わねぇ

それに、永倉が青くなるのを見たのは

初めてだ


「屯所のどこにもいない!」


一廻りした平助が、息を切らせて

広間に入って来た


「御所かも……」


優がそう言って、立ち上がる


「新選組も出動命令があるだろうから
準備があるでしょう
依里様を探しながら、御所に戻ってみる
向こうで合流しましょう」

「ああ、気をつけろよ」

「偉そうに!!!」


ダンと床を踏みならして、出て行った


普通に言ったつもりなんだがなぁ











すぐに出動して、御所へ向かった

途中、依里がいないかチラチラと

脇道を見る


そういや、立てねぇはず……


どうやって?屯所を出た?




その疑問は、すぐに解消された


たった一人で門を守っていた


顔を半分隠して、刀を振っていた


その早さは、総司に匹敵するものだった

廻りにいる奴らは、捕縛するのに追いつかない


「新選組だ!加勢する!!」


近藤さんがそう言うと、門は任せたと言わんばかりに、依里が塀に上がり

場所を移動する


動けるようになったんだな

よかった!!!



後ろ姿を見送りながら、しみじみって
余裕はねぇが


よかった!!!