「いまさらですけど、甘いもの大丈夫でしたか?」


千紗の言葉に、矢嶋は、驚いたように顔を上げる。


「大好きだよ、甘いもの。男なのに変かな?」

「いえっ、そんなことないですっ」


窓から、涼しい風が入ってくる。

男の人の部屋だ。

自分の部屋とは違う匂いに、なんとなく恥ずかしくなる。


「この紅茶、外国のなんだけど、なかなか手に入らなくて。

個人では買えないから、お店やってる知り合いに譲ってもらったんだよね」


美味しいから飲んでみて、と出された白いティーカップの中には綺麗な赤色の、紅茶が入っていた。