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――ピンポーン、ピンポーン。

千紗は、可愛いケーキの箱を片手に、お隣のチャイムを押す。

中から足音が聞こえて、彼が顔を出した。


「こんにちは」


約束したのは3時。


『美味しい紅茶を貰ったので午後のティータイム、僕の家でしよう』


そう言ってくれたのは、矢嶋だった。

彼の部屋に行くのは、これで二度目。

それでも緊張はする。


「あの、美味しく出来たか、わからないんですけどっ。

あ、いや、ちゃんと出来たはずなんですけど、お口にあうかな……」


緊張しすぎて、訳のわからないことを言ってしまう。