◇ 「変、じゃないかな? わざとらしく思われないかな…」 千紗は、スマホを片手に何度も部屋をウロウロしながら、迷う。 あれから、祥子のアドバイス通り、夕飯のお礼をすることに決めた。 散々悩んだ結果、今度の土曜にシフォンケーキを焼くことにしたのだ。 料理はあまり得意じゃないけれど、シフォンケーキだけは、誰に作っても美味しいと褒められた。 久志にバレンタインに作って以来、かな。 そう思うと、少し複雑だったけれど。