矢嶋が、カナタだろうと、なかろうと。 ご飯を作ってくれたのだって、優しくしてくれたのだって。 彼が誰だろうと、何にも変わらない。 あたしが見えてる彼が、彼自身なのだから。 ただの、お隣さんで。 かっこよくておしゃれで、料理もうまくて。 それでいて、ちょっとイケボなだけ――。 「まだ始まってもない恋に、うだうだ悩むのは損ですよぉ?」 祥子はそう言いながら可愛く笑った。