『じゃぁ、そこに僕の電話番号あると思うから、あとで着信入れておいてもらっていいかな? これからまだ仕事なんだ』 「分かりました。連絡入れときますね」 千紗はそう言って電話を切ると、目の前で待機していた宅配業者の男に、携帯を返す。 彼は、何度も隣の家に来ていたらしく、安堵した様子で頭を下げていた。 「ナマモノ……か」 箱には「要冷蔵」のシールが貼られている。 この段ボールを冷蔵庫に入れるほうが、難易度高いんじゃないの? 千紗は、そう思いながら、書いてある電話番号をメモった。