あの日から、千紗は、目一杯、アンテナを張り巡らせた。

ラジオで、怪しいと思ったところを手帳にメモしたり。

お隣の様子をベランダから伺ったり。

それでも、共通点は、4つしか見つからなかった。

つい最近引っ越してきたこと。

それにハーツのチョコの話題。

「キャロル」のビビアンのCD。

話し方と声。


やっぱり別人なんだ……。
 
事件が起きたのは、千紗の淡い期待は砕かれた頃だった。