――あっ。 この時、ようやく気づいたのだ。 彼に対してのこの感情がなんなのか。 どうして、こんなに彼が気になるのか。 ――あの声、それにあの話し方……。 千紗は、思わず振り返る。 けれどもそこにはもう、彼の姿はなかった。 とっさにレジまで追いかけようとして、足を止めた。 ――気のせいかもしれないし。でも、あの「ありがと」の言い方……。