「いえ、大丈夫ですよ」 上から降ってくる声に、千紗は思わず「ん?」と顔を上げた。 そこにいたのは――。 「あっ、ハーツのチョコのお隣さん!」 思わずそう言ってから後悔する。 えっと、名前なんだっけ。 ちゃんと聞いたはずなのに、チョコレートの方が印象に残っていてすっかり忘れてしまっていた。