土日のレンタル店は結構混んでいる。

ここは駅からも近く、品揃えもそこそこだった。

毎週のようにここに通って、映画を借りて、久志と観ていたのが懐かしい。

だけど、千紗は、いまだに映画だけはあの部屋で見る気になれないのだった。

時々、思い出がありすぎるあのマンションを引っ越してしまおうかな、なんて思う時がある。

だって、いつになったら彼のことを忘れられるのだろう。

何をするにも、頭の隅っこでチラつくのは久志の影なのだ。