一年付き合った彼に、別れを突き付けられたのはちょうど今から二か月前。 四月に入ってすぐのことだった。 相川久志(ひさし)は、憧れの人だった。 成績は常に上位、社内でも人気の営業マン。 彼と知り合ったのは、違う部署の人たちと交流会のような席でのことだった。 普段あまり飲み会には参加しないせいか、帰るチャンスを失っていた千紗。 終電の時間が近づいても飲み会がなかなか終わりそうにない雰囲気で困っていたところ。 久志が慣れたで助け船を出してくれた。