少ししてまた、着信音が響いた。 同じ番号。 だから、なんだって言うの。 千紗は思わず苛ついた。 「もしかして、知ってる相手なの?」 矢嶋の言葉に、千紗は頷いた。 「……元カレ、とか?」 もう一度、小さく頷く。 「今さら、用事なんてないはずなんです。だから出なくていいの」 強がりながらそう言ったつもりでも、両手は微かに震えていた。