矢嶋は、1つため息をついてから、千紗の方へ向き直る。


「僕も君が好きだ」


低く甘い、柔らかくて優しい声で、そう言った。

その瞬間。

今さらながらドキドキしてくる。


「千紗ちゃんが、好きだよ」


彼はもう一度、確認するようにそう言った。

心臓が熱くなって、鼓動が部屋中に響きそうになる。

彼が、こんなにはっきり返事をくれるなんて思っていなかったから。

千紗は、嬉しくて泣きそうになった。