心臓がどきどきした。 誰も見ていないのに、顔が真っ赤になるのがわかる。 「やっ……たぁ」 思わず、両手で頬を抑えてしまう。 そう。 ムーンなんてありふれたラジオネームだから、一瞬別人かと思ったが。 かかった曲で確信した。 千紗の送ったメールが、カナタに読まれたのだ。 正直、この瞬間は、久志との思い出の曲なんてどうでもよくなっていた。 初めて送ったメールが読まれたのだ。 それが飛び上るほど嬉しかった。