♢ エレベーターを降りるあたりから、かなり気持ち悪かった。 千紗は、ふらつく足を何度か絡ませながら、手すりに捕まった。 「気持ち悪……」 人の部屋の前の廊下で、吐きそうになる。 なんとか耐えて、また歩き始めた。 自分の部屋がやけに遠い気がする。 足元だってよく見えない。 今さらになって、 「こんなに飲むんじゃなかった」 そう後悔していた。