「きっと、その女の人は、千紗ちゃんに期待してるんじゃないかな?」
「期待……ですか?」
「そう、期待。伝わりにくいかもしれないけど」
もちろん、そう感じる時もあるけれど、注意されたり叱られたり。
そういうほうが多い気がする。
「やり方はちょっと、えげつなかったかもしれないけど。千紗ちゃんの性格、分かっていてその場に連れて行ったんでしょう? それって少なくとも千紗ちゃんのことよく見てるってことかなって、僕は感じたよ」
矢嶋はとても優しそうな目をして笑った。
「それに、ね。別に途中で挫けたっていいんだよ。そりゃ疲れて休みが必要な時もあるよ。それでまた頑張ればいいんだって」
彼のその流れるような穏やかな話し方が、心地良かった。

