「なんで……」 千紗は恐る恐る聞いてみる。 「なんであたしを営業課に呼んだんですか……」 それは、ずっと聞きたくても聞けなかったことだった。 斎藤課長は、ワインをクイッと飲み干すと、勝ち誇ったような顔をして、千紗をじっと見つめた。 「なんでだと思う?」 「質問を質問で返さないでください……」 少しだけムキになって言い返した千紗に、彼女は、また冷たくフフン、と笑う。