「物分かり悪いわね。もともとあいつの上司と私が知り合いなの。今回の取引、セクハラ親父が担当って聞いて、どうにか外したかったわけ。あいつがセクハラしたら、こっちはウワテに出て話進められるでしょ。あなたのおかげで、うまく行きそうだわ」
彼女は、フフンっと楽しそうに笑った。
千紗は、一気に力が抜けて、椅子に座り込む。
「それなら先に言っておいてくださいよ……」
思わずそう言葉が出た千紗に向かって、斎藤課長は、あっさり返した。
「そんなの言ったら、あなた絶対、ついて来ないじゃない」
ああ、それもそうだ。
わざわざセクハラ受けに、ほいほい言うことを聞いてついてくるほどバカではない。
それなら、そこまで見越して、黙っていた斎藤課長は、よっぽどひどくないか?
一瞬、そう思ったが。

