お隣さんはイケボなあなた




「いやっ……」

千紗は立ち上がった瞬間、手元にあったグラスを床へ落としてしまった。

ガッシャーン。

その場にいたお客や店員の視線を、一気に集めてしまう。

相手の男は、眉を思いっきりしかめたまま、斎藤課長に向かって怒鳴った。


「君は部下をどう教育してんだ」

「すみません、お怪我はありまそんでしたか?」


斎藤課長が、千紗に「ここはいいから下がっていて」と目配せをする。


「失礼しました……」


千紗の声はか細くて、相手には届いていないようだった。