「あ、いや、廻らないって方に喜んだんじゃなくて……」
慌てて付け加える。
「また、一緒に出かけてもらえるんだな、って……」
そこまで言いかけて、一気に顔が赤くなってしまう。
「出かけてもらってるのは、僕の方なのに」
珈琲を口にしながら、矢嶋は少し拗ねたように言った。
「千紗ちゃんがいなかったら、きっと僕の週末は引きこもりで寝てるだけになってたよ」
「きっと誘った女の人みんなにそう言ってるんでしょ」
千紗はも拗ねたようにそう返す。
「千紗ちゃんの中で、僕は、どんな人間になってんの、それ」
思わず慌てた様子で、彼は眉をくねらせた。

